第258話 崖っぷちの青いバラ。

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なぁに?このネコっぽいヒト。チョットなれなれしい…。

ずいぶんと長い旅をして来た気がする。
電車に乗る時は、車窓を流れて行く景色をボーっと眺めているのが好きだけれど、さすがにそれも飽きてきた。
だからこの見知らぬヒトの質問にも、アッサリ素直に答えたりしたのだろう。

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駅舎に降り立つと、どこか懐かしい匂いがした。
初めての場所なはずなのに、「あぁ、帰ってきたな」と思えるような。

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「引っ越して来た時には駅前に住民総出で歓迎してくれた」なんてウワサ話を聞いたコトがあるけれど。
その駅前には、だぁれもいない。
まぁ、その方がワタシ向きではあるけれど。

せめてもの歓迎の意と解釈して、このお金はもらっておくコトにしよう。

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駅を出て吸い寄せられるように南へ歩くと、海岸べりの崖っぷちに青いバラが。
この青いバラに呼ばれたような気がするのはなぜだろう。

今日から、ここがワタシの住む所。

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役場へ手続きに行くと、「しずえ」と名乗る女性が対応してくれた。

『お嫁さんにしたい候補No1』的なイメージだけど、変に媚びた感じじゃないトコロが気に入ったわ。
しずえ。しずえって呼ぶから。

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しずえに不動産屋を紹介され、住む家を正式に決める。
ゆうに時間外労働だろうに根気よく付き合ってくれたのだから、多少足が遅くとも「このタヌキ親父め」なんて言うのはやめておこう。
今日だけは…。

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ふぅん、テントね。
女一人が一夜を明かすのに、テント、ね。
ま、良いけど。

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裏でガサゴソ言う音が聞こえるから何かと思って近付いてみたら、なにこれ、タランチュラ!?

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フフフ…面白くなってきた。
こうじゃないと。

今日からゴリゴリ村での暮らしが始まる。

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初めまして、マユと申します。
崖っぷちの青いバラこと、マユでございます。

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6 Responses to 第258話 崖っぷちの青いバラ。

  1. まき says:

    またあのマユさんに出会えるなんて…!!

  2. ゆう says:

    まえにもマユさんていたんですか?

  3. ゆう says:

    そうなんですか⁈さがしてみます☆

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